東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
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副腎皮質ステロイドはこれまでおよそ70年にわたり、世界中の関節リウマチ患者に対して使われてきました。強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があり、少量の使用でも痛みを急速に緩和し、関節リウマチの症状を改善させます。ただし離脱(中止)が簡単ではなく、特に長期にわたって使い続けると副作用が強く現れることがあります。

非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)やステロイド薬は、痛みを改善させることが主目的であり、内服すれば、内服後、数十分程度の比較的早期から痛みは和らぎますが、これらの薬剤だけで治療を行った場合は、残念ながら関節破壊を防止することはできません。関節リウマチの病勢が落ち着けば、中止することが可能であり、あくまで補助的な役割として、これらの薬剤は使用されているのが現状です。IORRA調査の結果をみても、この20年で抗炎症薬(NSAID)やステロイド薬を服用されている患者さんの割合は減少傾向にあります。

日本リウマチ学会による「関節リウマチ診療ガイドライン2020」では、副腎皮質ステロイドは補助的な治療として位置付けされており、「発症早期や再燃時の関節リウマチに対して、副腎皮質ステロイドを使用する場合には、必要最小量を投与し、可能な限り短期間(数か月以内)で漸減中止することが求められる」ということが、明記されています。

なお、ステロイドを長期間服用していると、体内でステロイドを作る機能(副腎機能)が働く必要がなくなるため低下してきます。そのため急に服用を止めると体内のステロイド量が不足し、危険な状態になることがあります。減量の際は必ず医師の指示に従ってください。

主な副作用には、長期投与での副腎機能低下、骨粗鬆症、高血圧症、高脂血症、白内障、緑内障、大量投与では易感染性(感染しやすくなる)、糖尿病、ムーンフェイス、中心性肥満、消化管潰瘍などがあります。

文責 田中榮一
2023年10月11日更新