東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
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概念

様々な原因により、大腿骨の股関節を形成する部分(大腿骨頭)の血流が低下し壊死が生じた状態です。

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原因

原因はまだはっきりとは分かってはいませんが、危険因子としてステロイド薬やアルコールが有名です。特にステロイド薬を使用して治療する病気の中で、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病の患者さんに大腿骨頭壊死の発症頻度が高いと言われています。ステロイドパルス療法(短期間に大量のステロイド薬を投与する治療)を受けたことがある患者さんや、一日平均15mg程度以上を内服している患者さんでは、発症するリスクが4倍とも言われています。ただし、すでに内服しているステロイド薬を自己判断で勝手にやめたり量を減らしたりすると、元の病気が悪化したり具合が悪くなることがありますので、必ず主治医と相談してください。

症状

骨に壊死が起こること(発生)と、股関節に痛みが出現すること(発症)には数ヶ月から数年の時間差があります。つまり壊死が発生するだけでは痛みはありません。壊死した大腿骨頭が体重を支えきれなくて潰れてくると痛みが出てきます。

治療

治療法は年齢、内科的合併症、職業、活動性、片側性か両側性か、壊死部分の大きさや位置などを考慮して決定します。

(保存療法)
壊死部分の大きさや位置から予後良好と判断できる場合、あるいは症状がない場合は保存療法を行います。具体的には、杖・松葉杖などを使って、痛みの生じている股関節にかかる負荷を減らします。また痛みが強い場合は消炎鎮痛薬(痛み止め)を併用します。しかしながら、これらの方法では壊死の進行防止はあまり期待できないのが現実です。

(手術療法)
自覚症状があり壊死の進行が予想されるときは速やかに手術適応を決定します。手術方法は、当院では主に人工股関節置換術を行っています。これは、壊死した大腿骨頭を含め、股関節そのものを人工の関節に置き換える手術です。 当院では整形外科股関節グループが手術を行っていますので、詳細はそちらのホームページ(https://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/RinshoKouza/061/group_hip.html)を御覧ください。

文責 矢野紘一郎

2022年8月12日更新