関節リウマチ治療の基本は薬物療法です。かつては抗炎症剤(ステロイド剤、非ステロイド剤)と金製剤が治療の中心でしたが、1990年代に入ってからこれまでの20年間で多くの新しい抗リウマチ薬やさまざまな治療法が開発されました。特に1999年にリウマトレックス®が関節リウマチに使えるようになり(16mg/週までの増量が承認)、2003年から生物学的製剤の国内発売が順次開始されたことで、関節リウマチの薬物治療は急速に発展しています。現在ではレミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ヒュミラ®、オレンシア®、シンポニー®、シムジア®、インフリキシマブBS®、エタネルセプトBS®などの生物学的製剤が使用可能です。また分子標的型低分子化合物としてゼルヤンツ®、オルミネント®も発売され、関節リウマチの薬物治療の選択肢は格段に拡がっています。
当センターで行われているIORRA調査によると、抗リウマチ薬の中ではリウマトレックス®が最も使われており、およそ8割弱の患者さんが使用しています。次いでアザルフィジンEN®、プログラフ®、リマチル®の順となっていて、その他の内服の抗リウマチの使用率は5%に満たない状況です。生物学的製剤や分子標的型低分子化合物はすべてあわせてもまだ30%に届かない程度にしか使われていませんが、その使用率は年々伸びており、リウマトレックス®と並ぶ中心的な治療薬です。ただし生物学的製剤の医療費が高額であることから、抗リウマチ薬の併用療法にも改めて注目が集まっています。一方、ステロイド剤は約半数の患者様が使用なさっているものの、服用率、服用量ともに減少の一途を辿っています。
関節リウマチに係る医療費は高騰していますが、医療費に関しては薬剤費だけを考えるのではなく、それにより得られるメリットまで含めて考慮する必要があります。医療費に関してもIORRA調査からの報告がありますのでご参照下さい。
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2010年に欧州リウマチ学会 (European League against Rheumatic Diseases, EULAR)によってまとめられ、2013年に改定された関節リウマチの治療推奨が2016年に再度改定されました。
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文責 猪狩勝則
2019年5月1日更新