東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
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現在人工股関節置換手術は当院整形外科・股関節グループが行っています。手術の詳細はホームページ(https://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/RinshoKouza/061/group_hip.html)を御覧ください。

 

股関節の障害

 股関節の軟骨がすり減ってくると、関節に痛みを生じて歩きにくくなります。人工関節置換手術とは、傷んだ関節の部分だけを取り除いて、人工の関節に替える手術です。人工の関節には、セラミック、金属、ポリエチレンなどの種類があります。日本国内においても年間で12万例以上の手術が行われており、股関節や膝関節といった場所が治療の中心になるので歩行能力が改善されます。人工関節置換手術を行えば、関節の痛みのもとになるものを全部取りのぞくことができるのがメリットです。特に人工股関節置換手術は他の関節リウマチの手術法と比べてみても、術後成績が安定しており、患者様の満足度が高い治療法の一つです。 当センターでは最小侵襲手術 (MIS) の考え方を取り入れており、出来るだけ患者様の身体に負担が少なくなるよう小さなキズで手術を行っています。

 

股関節の構造と機能

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大腿骨の先端(骨頭部)がほぼ球形になっており、この部分が骨盤のアーチ状の部分(寛骨臼)に収まって、前後左右自由自在に動かせるようになっています。ただこのままでは外れやすいので、筋肉で骨盤と大腿骨をつなぐような形になっています。自分の体重を支える重要な関節であるため、股関節の破壊が進行すると骨が変形し、歩くときに強い痛みを生じるようになります。それにより歩行機能が低下すると、日常生活に著しい支障をきたすため、歩行機能の低下は全身状態の悪化につながる可能性もあります。

 

人工股関節置換手術

人工股関節置換手術の適応となるのは、次のような症状の方々です。

  • 関節の痛みがひどく日常生活に支障をきたす
  • 薬物療法、理学療法、運動療法などでも改善の見込みがない
  • 検査などで、関節炎の進行やその他の病気が認められる

人工関節の耐久年数は、およそ15~20年と言われています。耐久年数を過ぎた人工関節はとり換えることもできますが、再手術が必要となります。そのため以前は比較的高齢者にこの手術が行われる傾向がありました。ところが、近ごろは比較的若い世代の方であっても、より快適で質の高い生活(Quality of life)を尊重する傾向があることから、20代、30代で人工股関節置換手術を受ける患者さんも増えてきています。

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手術のながれ

手術は通常全身麻酔で行い、手術を受ける前にはいくつかの準備が必要です。手術の前日(手術前日が休日の場合は2~3日前)に入院し、レントゲン、CT、心電図、血液検査などの検査を行います。手術は股関節側面の皮膚を8~20cm程切開します。滑膜や大腿骨頭を取り除き、人工関節に置き換えます。股関節の損傷の程度にもよりますが、手術は1~2時間程度かかります。
手術翌日から座って食事をとることができ、2日後には車椅子乗車や立ち上がる練習、股関節を動かすリハビリが始まります。その後歩行練習も始まります。術後の経過にもよりますが、入院は通常術後3週間で、杖歩行あるいは杖なしでの歩行で退院します。
退院後は定期的に外来に通院していただき、必要に応じてリハビリを継続します。手術の影響なく日常生活を送れるようになるには術後約数ヶ月かかります。

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文責 矢野紘一郎
2014年2月1日改筆