modified Total Sharpスコア (mTSS, SHS, SvdH) は手足の単純X線写真を用いて関節リウマチ患者の関節破壊を評価する方法です。関節リウマチにおける手足の各関節の経時的変化を評価するのに最も感度の高い評価法とされ、臨床研究で現在広く使われています。
概要
1971年にJohn Sharpが関節リウマチ患者のレントゲン変化の定量的評価の開発を目的として、手と手関節の27関節対象とし、びらん(Erosion)と関節裂隙狭小化(Joint space narrowing: JSN)を点数化するSharpスコアをしました (1)。さらに、1985年に読影関節数をErosionは17関節、JSNは18関節に減らしたmodified Sharpスコアを発表しています(2)。
その後、1989年にD. van der Heijdeが発表した、手の読影関節数をさらに減らし(Erosion:16関節、JSN:15関節)、足の関節読影(Erosion:6関節、JSN:6関節)を含めたSharp/van der Heijde scoreが現在もっとも広く使われています (3)。
この改定の歴史も反映し、各論文によって使用している名称が異なることがありますが、足の関節読影を含んでいるものはvan der Heijdeが改定したものであり、どれも同じ意味です。
・modified Total Sharp Score (mTSS)
・Sharp/ van der Heijde score (SHS, S-vdH)
読影方法
図の赤色の関節がErosionを評価する部位で、縦じまがJSNを評価する関節です。
Erosionは0~5点、JSNは0~4点でスコアリングします。
(当科で利用しているスコアリングデータベースのメイン画面)
・Erosion
0=びらん無し
1=小さなびらん
2=関節面の半分に満たない
3=関節面の半分以上
5=完全に圧壊
*手:1関節につき最大5点 足:1関節につき最大10点
・JSN
0=正常
1=局所のみ、わずか
2=50%以上が残存
3=50%以下が残存、亜脱臼
4=関節裂隙消失、完全脱臼
*手・足ともに最大4点
全ての関節の合計点数をその患者のTotal Sharpスコア(総 Sharpスコア)とします。 手の最大点数は280点(Erosion:160点、JSN:120点)、足の最大点数は168点(Erosion:120点、JSN:48点)であり、Total Sharp スコアの最大点数は448点となります。
参考文献
1. Sharp JT et al. Arthritis Rheum. 1971 Nov-Dec;14(6):706-20.
2. Sharp JT et al. Arthritis Rheum. 1985 Jan;28(1):16-24.
3. van der Heijde DM et al. Lancet. 1989 May 13;1(8646):1036-8.
文責 矢野紘一郎
2022年8月12日改筆