東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
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「ヒュミラ」は米国で2002年に、国内では2008年に承認され、 世界80カ国で約37万人の患者さんに投与されています。TNF阻害薬としては「レミケード」、「エンブレル」に次いで3剤目の生物学的製剤で、「レミケード」同様に抗体によってTNFαの働きを阻害します。関節で過剰に産生されているTNFαの働きを阻害する事によって関節リウマチの痛みの改善だけでなく、関節破壊進行を抑えます。「レミケード」の投与方法が点滴であるのに対し、「ヒュミラ」は皮下注射により投与でき(一定の条件を満たす方は在宅自己注射が可能です)、また「エンブレル」が週に1-2回の投与が必要なのに対し、2週に1回の投与で済むため、投与方法が簡便であることが特徴に上げられます。

同じ抗体製剤である「レミケード」と異なり、完全ヒト型抗体(マウスなどの異種タンパクを含まない)のため、中和抗体(ヒュミラに対する抗体)が出来にくいとされ、リウマトレックスの併用は必須ではありません。しかし他の生物学的製剤と同様にリウマトレックスを併用したほうが有効性が高まると報告されており、また実際には日本人では中和抗体(ヒュミラに対する抗体)が少なからず出現することも報告されているため、可能であれば一定量以上のリウマトレックスの併用をお勧めします。

「ヒュミラ」を用いた大規模臨床試験では、投与によって「臨床的寛解」、「関節破壊の進行がない」、「身体機能の正常化」という3つの評価項目全てを満たす「完全寛解」の可能性が高まることが証明されています。

「ヒュミラ」は他の生物学的製剤と同様、免疫の働きを低下させるため、感染症にかかりやすくなる事があります。体のだるさや口内炎、咳なども含め、少しでも「体調がおかしい」、「いつもと違う気がする」といった事があれば、すぐに主治医や看護師に相談してください。

「ヒュミラ」は1本(40mg)約7万円です。通常、2週間に1本投与し、体重による用量変更はないため、自己負担額は約4万円(3割負担の場合)となり、これに再診料・検査料・処方箋料などが加わります。リウマトレックスなどの他の抗リウマチ薬を併用しない場合は、80mgまでの増量も可能です。

文責 猪狩勝則
2013年7月10日改筆