東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
外来診療予約

「シンポニー」は欧米で2009年に、国内では2011年に承認されました。TNF阻害薬としては「レミケード」、「エンブレル」、「ヒュミラ」に次ぐ4剤目の生物学的製剤で、「レミケード」や「ヒュミラ」同様に抗体によってTNFαの働きを阻害します。関節で過剰に産生されているTNFαの働きを阻害する事によって関節リウマチの痛みや腫れの改善だけでなく、関節破壊進行を抑え、身体機能も改善します。「ヒュミラ」や「エンブレル」同様に皮下注射により投与でき、また「エンブレル」が週に1-2回、「ヒュミラ」が2週に1回の投与が必要なのに対し、4週に1回の投与で済むため、TNF阻害薬の中では投与方法がもっとも簡便であることが特徴に上げられます。在宅による自己注射も可能ですが、当センターに4週に1度、通院されている患者さんは、外来の通院時に、病院内で看護師さんにより注射してもらうことが可能です。自宅で自己注射しなくても良いという利便性から、当センターで良く使用されている生物学的製剤の1つです(2023年10月現在)。状態に応じて標準用量の倍量である1回100mgに増量して使用することも可能です。

同じ抗体製剤である「ヒュミラ」同様にヒト型抗体(マウスなどの異種タンパクを含まない)のため、中和抗体(シンポニーに対する抗体)が出来にくいとされ、メトトレキサート(リウマトレックス®)の併用は必須ではありません。しかし他の生物学的製剤と同様に、メトトレキサートを併用したほうが有効性が高まるため、可能な限りメトトレキサートとの併用をお勧めします。

「シンポニー」は他の生物学的製剤と同様、免疫の働きを低下させるため、感染症にかかりやすくなる事があります。体のだるさや口内炎、咳なども含め、少しでも「体調がおかしい」、「いつもと違う気がする」といった事があれば、すぐに主治医や看護師に相談してください。

「シンポニー」は1本(50mg)約11万円です。通常1ヶ月あたり約33,000万円の自己負担となり(3割負担の場合)、これに再診料・検査料・処方箋料などが加わります。


文責 田中榮一
2023年10月11日更新