東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
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「アクテムラ」は日本で開発された唯一の国産生物学的製剤で、最新のバイオテクノロジー技術によって国内で製造されています。国内では約1万名以上の患者様に投与されており( 2011年4月現在)、海外では2009年1月にヨーロッパで、2010年1月にはアメリカでも承認を取得し、使用が開始されています。

「アクテムラ」は他の生物学的製剤とは異なり、インターロイキン6(IL-6)というサイトカインの働きを抑える「抗ヒトインターロイキン6モノクローナル抗体製剤」です。IL-6は炎症に関与するサイトカインで関節リウマチでは体内で過剰に作られ、炎症に由来する様々な症状を引き起こしています。「アクテムラ」はIL-6が結合する受容体に結合して、IL-6が受容体に結合するのをブロックすることで炎症に由来する様々な症状を抑え、関節破壊の進行を抑制し、日常生活動作を改善します。

「アクテムラ」の効果には個人差がありますが、現在までの経験ではほとんどの患者さんで一定以上の効果が認められています。ただし「アクテムラ」は関節リウマチを根治させる薬剤ではありませんので、長期間にわたり投与を継続する必要があると考えられています。

「アクテムラ」は他の生物学的製剤同様に免疫機能を抑制させることで炎症を抑える効果を発揮するため、感染症にかかりやすくなることがあります。通常、感染症にかかると発熱や血液検査で炎症マーカー(CRPや血沈などの炎症を評価する指標)が上昇しますが、「アクテムラ」は炎症を強力に抑制するため、炎症がわかりにくくなります。軽いかぜだと思って放置していると重症化することも考えられますので、かぜの症状(発熱、息苦しさ、のどの痛み、咳、たん、鼻水など)を感じた場合は、例え軽度でも次の診療日を待たず、すぐに主治医、看護師、薬剤師にお申し出ください。

「アクテムラ」は点滴でも皮下注射でも投与可能な生物学的製剤です。 皮下注射は2週間に1度の間隔で、 点滴は4週間に1度の間隔での投与となり、1回の点滴時間は1時間程度です。点滴投与の場合、体重1kg当たり8mgを投与しますので体重に応じて使用する薬の量が変わります。80mgバイアルで約1万8千円、200mgバイアルで約4万4千円、400mgバイアルで約8万8千円です。皮下注射は体重による増減はなく1本約3万8千円です。約3割負担の場合、1ヶ月あたり2万〜4万円程度となり、これに再診料・検査料・処方箋料などが加わります。体重によっては標準使用量で最も安価な生物学的製剤となります。

文責 猪狩勝則
2013年7月10日改筆