東京女子医科大学病院 膠原病リウマチ痛風センター
外来診療予約

A case of systemic lupus erythematosus having concurrent Evans syndrome and acquired thrombotic thrombocytopenic purpura.

題名:血小板と赤血球が減少する2種類の病気 (エヴァンス症候群と後天性血栓性血小板減少性紫斑病) を同時に発症した全身性エリテマトーデス患者の報告

抄録:10歳代の女性が、2週間前からの息切れ、紫斑などを主訴に当科に入院した。この患者は、8年前に、「全身性エリテマトーデス (SLE)」と、SLEに伴って血小板が攻撃・破壊される病気である「免疫性血小板減少症 (ITP)」と診断されていた。入院時の血液検査では、血小板の減少の他、赤血球が破壊されることによる貧血 (溶血性貧血) や、血小板・赤血球を攻撃する抗体もあることがわかった。これらの結果から、ITPに、赤血球が攻撃・破壊される病気である「自己免疫性溶血性貧血」を合併した「エヴァンス症候群 (ES)」と診断され、ESに通常用いられる高用量のステロイド剤で治療されたが、十分に改善しなかった。そこで血液検査でADAMTS-13活性やADAMTS-13インヒビターを調べたところ、これらが異常であることがわかり、このことから血小板と赤血球が減少する病気である「後天性血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP)」を合併していると診断された。TTPに非常に効果のある血漿交換療法を開始され、以後は急速に改善し、退院した。ESと後天性TTPを同時に発症した報告はこれまでなかったが、今回の報告から、ステロイド剤で十分に改善しないESでは、ADAMTS-13活性やADAMTS-13インヒビターを調べて、後天性TTPを除外することが重要であると考えられた。

Mod Rheumatol Case Rep. 2023 Feb 8

詳細はこちら